Vol.4 からだのリズムを整える朝ごはん

夏は仕事や学校の長期休暇や夏休みなどにより生活リズムが乱れやすく、それとともに体内時計も乱れやすくなります。また、睡眠時間には季節変動があり、夏は日照時間が長く、気温も高いことから睡眠時間が短くなることが報告されています(図1)。

これまでに体内時計をリセットするためには、「朝日を浴びて朝食を食べる」ことが大切であることにふれてきましたが、今回はからだのリズムを整える朝ごはんについてのお話です。

図1
季節ごとの平均睡眠時間

朝ごはんによる体内時計の調節

朝ごはんを食べることは体内時計を調節しますが、食事に含まれる栄養素によって2つの調節機構が存在します。朝ごはんにごはんやパン、麺類などの主食に多く含まれる「炭水化物」を摂取すると血糖値が上昇し、すい臓からインスリンが分泌されて全身にエネルギーが供給されることで体内時計を調節します。また、肉や魚、卵、大豆製品などによる主菜に多く含まれる「たんぱく質」を摂取することで分泌を促すインスリン様成長因子-1(IGF-1)によっても体内時計が調節されることが報告されています。

さらに、朝ごはんにたんぱく質が少ない食事は、夜ご飯に十分なたんぱく質を摂っても1日の体内のたんぱく質合成量が低くなります(図2)。

図2
1日のたんぱく質摂取パターンの違いと筋タンパク質合成速度

朝ごはんを食べることは肥満予防にもつながる

朝ごはんを抜くと、昼食や夕食でドカ食い=過食になることが知られています。1日2食あるいは1日3食を自由に食べた場合、1日の総エネルギー摂取量はほとんど差がないことも報告されており、1回の欠食分はほかの食事量が増えたと考えられます。

実際に、朝食を食べてダイエットを行った場合と朝食を抜いてダイエットを行った場合では、朝食を食べてダイエットを実施した方が体重の減少率が2倍も高かったことも報告されています(図3)。これは、以前のコラム(Vol.1)でもふれたように食事を摂取することで産熱を促す食事誘発性熱産生(DIT)が、欠食により低下することも一つの要因となります。また、朝食を欠食することによる昼食や夕食での過食は、昼食後に血糖値が急上昇することで午後の眠気を引き起こす原因にもなります。

図3
ダイエット時の体重減少率

理想の朝食メニューとは?

炭水化物の供給源となる「主食」、たんぱく質の供給源となる「主菜」、ビタミンやミネラルの供給源となる「副菜」が揃えられると基本の栄養バランスが整います。さらに、乳製品や果物を加えることで栄養バランスがUPして理想の朝食メニューとなります(図4)。

図4
理想の朝食の組み合わせ

朝食を欠食しがちな場合は、朝食を食べることがはじめの一歩となります。トーストにハムや野菜を挟んだり、ごはんと納豆を食べる、ゆで卵や野菜ジュースをプラスするなどして、少しずつ栄養バランスを整えられると良いですね。

生活リズムが乱れやすい夏だからこそ、「早寝・早起き・朝ごはん」を心がけて体内時計をうまく回すことで楽しい夏にしたいものですね。

著者紹介

中村 亜紀(なかむら あき)

広島国際大学
学部・学科:健康科学部医療栄養学科
職階:教授(学科長)
博士(栄養学)・管理栄養士
専門分野:時間栄養学、スポーツ栄養学